• 2026年8月31日

教えて!岩佐院長【妊娠・出産】~猛暑にご用心!妊娠中の「暑さ」が赤ちゃんの脳発達に与える影響とは?~

こんにちは。枚方市香里園町にあるイワサクリニック院長の岩佐です。

9月に入っても、まだまだ厳しい暑さが続きますね。

お腹の大きな妊婦さんや、小さなお子様を子育て中の方にとっては、体調管理がひときわ大変な季節かと思います。

今回は、そんな「暑さ」と「赤ちゃんの脳の発達」に関する、少し気になる最新の研究報告(2026年8月発表)をシェアしたいと思います。

妊娠期・乳児期の「暑さ」が脳の発達に影響?

スペインの研究グループが発表した最新の論文によると、「お腹の中にいる時から生後5ヶ月まで」の期間に暑い環境にさらされると、子どもの「視床(ししょう)」という脳の領域の成長スピードが少し遅くなる可能性が示されました。

この調査は、オランダの3,000人以上の子どもたちを妊娠期から長期間追跡したもので、猛暑などの環境要因が胎児に与える影響として世界的に注目を集めています。

「視床」ってどんな働きをするの?

視床は、目や耳から入ってきた感覚情報を大脳に送る「中継地点」のような役割をしています。

それだけでなく、運動の調節や、記憶、そして感情のコントロールにも関わる大切な場所です。

今回の研究でも、この部分の成長がゆっくりになると、思春期になった時に少し怒りっぽくなったり、規則を守るのが苦手になったりする傾向と関連があることが分かりました。(※知的能力への影響は確認されていません)

なぜ、外の暑さが赤ちゃんに影響するの?

お腹の中の赤ちゃんはママの体温に守られているはずですが、なぜ外の気温が影響するのでしょうか?

研究では、以下の3つの可能性が考えられています。

  1. 胎盤への血液供給への影響
    視床が成長するためには、たくさんの血液が必要です。ママの体が暑さにさらされると、胎盤や赤ちゃんへ十分な血液を届ける働きに影響が出る可能性があります。
  1. ストレスホルモンの増加
    暑さはママの体にとって大きなストレスになり、ストレスホルモンが増加します。
    通常は胎盤が赤ちゃんをガードしてくれますが、極端な暑さではその防御力が下がってしまうと考えられています。
  1. 神経を作るホルモンの働きが鈍る
    赤ちゃんの脳の回路を作るのに欠かせない「セロトニン」という物質の働きが、高温環境によって妨げられる可能性が指摘されています。

妊婦さんとご家族へのお願い:無理のない熱中症対策を!

このニュースを見て「暑い日に出かけてしまった!」と過度に不安になる必要はありません。

しかし、地球温暖化によって猛暑が長引く昨今、「母体を極端な暑さから守ること」は、赤ちゃんの健やかな脳の発育を守るためにも重要だということが医学的にも分かってきました。

妊娠中や授乳期は、以下のような対策を心がけてください。

  • エアコンをためらわずに使う(室内を快適な温度に保つ)
  • 日中の最も暑い時間帯の外出は避ける
  • のどが渇く前に、こまめに水分補給をする
  • 少しでも体調に違和感があれば、涼しい場所で休む

熱中症対策は、ママ自身の命を守るだけでなく、お腹の赤ちゃんの未来の健康を守ることにもつながります。

まだまだ暑い日が続きますが、ご家族で協力して、涼しく快適にお過ごしください。体調面で不安なことや気になることがあれば、いつでも当クリニックの医師やスタッフにご相談くださいね。

参考・提供元:HealthDay News(2026年8月14日公開)「妊娠期の暑さへの曝露が子どもの脳の発達に影響か」

岩佐弘一 プロフィール
ホルモン研究とガイドライン執筆の経験を、あなたの健康へ

大学時代より、女性の健康の要である「女性ホルモン」の研究に深く携わってまいりました。 その専門性を活かし、日本産婦人科学会の「低用量ピルガイドライン」や更年期女性に関する数多くの論文の執筆活動など、正しい医療情報の普及にも力を入れています。

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