- 2026年6月8日
- 2026年5月26日
【医療安全】脳科学で「うっかりミス」を防ぐ!イワサクリニックの安全への取り組みをご紹介
皆様、こんにちは。枚方市香里園町にあるイワサクリニックの医療安全管理委員会です。
医療現場において、最も大切なのは「患者様の安全」です。しかし、どれほど熟練したプロフェッショナルであっても、人間である以上「うっかりミス」をゼロにすることは簡単ではありません。
当院では2026年4月、「脳科学の視点からうっかりミスを防ぐ」という新しいアプローチで職員研修を行いました。今回は、私たちがどのようにして「安全な医療」を仕組みで守っているのか、その舞台裏をご紹介します。
なぜ「うっかりミス」は起きてしまうのか?
多くの人は、ミスが起きると「やる気がない」「気の緩みだ」と精神論で片付けてしまいがちです。しかし、脳科学の視点で見ると事実は異なります
実は、人間の脳は非常に「燃費」が悪い臓器です 。特に思考や判断を司る「前頭前野」はエネルギー消費が激しく、忙しい業務やマルチタスクが続くと、脳はリソースを守るために勝手に「省エネモード(自動操縦)」に切り替わってしまうのです

「自動操縦モード」の罠
脳には2つの思考モードがあります。
- システム1(高速モード): 直感的・無意識。慣れた作業で発動します。
- システム2(慎重モード): 論理的・意識的。正確ですが、脳のエネルギーを大量に使います。
ベテランスタッフほど、慣れた作業は「システム1(自動操縦)」で行うようになります。これが「いつも通りだと思い込み、異変を見逃す(RASフィルターの罠)」原因となるのです。
当院が導入した「脳の再起動スイッチ」

研修では、スタッフ全員で脳を強制的に「慎重モード」へ戻すための「再起動スイッチ」のアイデアを出し合いました。実際に研修で出された「再起動スイッチ」の一部をご紹介します。
- 指差し呼称・指差しスキャン
声と動きを連動させることで、眠っている脳の「システム2」を強制起動させます。書類チェックの際は、あえて下から上へ逆方向に読み進める「逆スキャン」で脳に刺激を与えます。 - 1分間リセット(リセット・ブレス)
焦っている時や処置の直前には、チーム全員で深呼吸を行い、脳に十分な酸素を補給します。 - 脳のメモリを外部に逃がす(アナログ活用)
人間の記憶(ワーキングメモリ)には限界があります。重要な数値は記憶に頼らず必ずメモに残し、物理的にレ点を入れるチェックリストを活用することで、脳の負担を減らしています。 - 「声かけ」の魔法
ミスが起きやすい時間帯(昼前や夕方)に、お互いに「今、疲れてない?」「バッテリー減ってない?」と確認し合います。この心理的安全性が、脳のパフォーマンスを回復させます。
「個人を責めない」安全文化(Just Culture)
私たちは、ミスを個人の責任にするのではなく、「仕組みの弱点(スイスチーズの穴)」を見つけるチャンスだと捉えています。
ハインリッヒの法則によれば、1つの重大な事故の背景には300の「ヒヤリハット(インシデント)」が存在します。当院では、これらを積極的に共有し、チーム全体で「防護壁」を強化し続ける文化を大切にしています。

結びに
産婦人科という、命の誕生に向き合う最前線にいるからこそ、私たちは最新の科学的知見に基づいた安全対策を追求し続けます。
すべては、患者様と新しい命を安心してお迎えするために。これからもイワサクリニックは、チーム一丸となって安全な医療を提供してまいります。
